露出する言葉、LGBTの本質はどこに。

 LGBTは、セクシュアル・マイノリティを総称する言葉のひとつだ。レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、それぞれの頭文字からなる。

僕がその言葉を知ったのは、比較的新しく2年半だったように記憶している。そして、成長するLGBT市場をいう一連の記事を読み漁り、この市場の可能性について感嘆した思い出がある。

 

成長するLGBT市場 1.LGBT概観: マーケティング・ブレイン(2007年6月18日)

LGBTでなくても、今の時代は、みんなが少しずつマイノリティな部分を抱えて生きて、そして消費している。そのことが時代の移り変わりと共にカミングアウトすることに抵抗が薄れ、インターネットというOne to Oneメディアの浸透で、マイノリティに対しても、ロングテールな販売促進が可能になってきた。特定のマイノリティをターゲティングできるだけでなく、マイノリティ自身がバイイング・パワーとなり、ポリティカル・パワーとなってきた。

成長するLGBT市場 2.LGBTのドライビング・フォース: マーケティング・ブレイン(2007年6月19日)/ 成長するLGBT市場 3.LGBTのマーケティング・スタディその1: マーケティング・ブレイン(2007年6月20日)/ 成長するLGBT市場 4.LGBTのマーケティング・スタディその2: マーケティング・ブレイン(2007年6月21日)/ 成長するLGBT市場 5.LGBT市場攻略アプローチ: マーケティング・ブレイン (2007年6月22日)

 

ゲイ&レズビアン市場の可能性 - インターネットコム(2002年2月6日)

ゲイ&レズビアン広告市場は、一般市場に比べて際立った特徴がある。マーケッターにとって最も重要なのは、ゲイ&レズビアンの生活水準が高いことだろう。 

 

2012年5月、米ABCテレビのインタビューの中でバラク・オバマ大統領が、歴代米大統領として初めて同性婚を支持した。LGBTに対する立ち位置を明確にしたことは、大統領選の争点のみならず、世界中の多くのLGBTを勇気づけ、歴史的にも大きな転換を構築したと言える。同性婚を認めない結婚防衛法(Defense of Marriage Act)は違憲と位置づけた連邦高裁の判決、そして、ロシアの「同性愛プロパガンダ禁止法」をめぐり、ソチ五輪開会式への出席を仏米英独首脳陣が見送るなど、LGBTが少なくとも人権という問題以上に国際的な論点として浮上した始めたことは事実だ。

 

週刊 東洋経済 2012年 7/14号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2012年 7/14号 [雑誌]

 

 

日本においては、2012年7月9日発売の経済誌『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』が2誌ともLGBT特集を掲載。LGBTカルチャーにスポットを当て、人種やバッググラウンドの違いを乗り越え、社会とLGBTの架け橋を築いた”スーパースター”たちを称える「Tokyo SuperStar Awards 2012」にて、メディア賞を受賞するなど、経済誌としてLGBTの市場をどう攻略するか、LGBTの地位向上を図る企画に大きな反響があった。

 

週刊 ダイヤモンド 2012年 7/14号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 2012年 7/14号 [雑誌]

 

 

そして、今や日本だけでも結構な頻度でLGBTというワードをテーマにした記事が掲載されている。LGBTは僕が言葉の意味を知り始めた時よりも格段に露出し、浸透し始めている。

 

 LGBTを制するものが不況を制す! | GQ JAPAN(2011年3月24日)

特徴的な価値観をもち、ネットワークもある。エッジも効いており流行に敏感。その分アプローチはしやすい。波及力のある市場として、LGBTは有望な市場といえるのではないでしょうか。

まず理解すべきは、エンタメ、カルチャー、風俗といった従来のアダルトコンテンツ以外にも大きな市場があるということです。その存在感は日本でも高まっています。そんな彼らの特徴は、コレが好き、という強さがあること。これがビジネスのヒントになると思います。

LGBTの現在│Special│Billboard JAPAN(2013年12月4日)

日本のLGBT人口は、全人口の5%程度(2012年、電通総研)消費市場は年間6兆円(日経ビジネス2.26号の掲載)に達すると言われている。6兆円は国内の酒類市場に匹敵する規模で、「日経ビジネス」「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などがいち早く特集を組んできたのは興味深い。この眠れる市場にマーケティング担当者は切り込むべきという一方で、「LGBTを応援するには、理由がいる」「会社の名前を出すのは判断に迷う」といった声もまだ多く聞こえる。しかし、LGBT市場が77兆円と推定されるアメリカでは、保守層も多いが、「市場価値」を見出されることで、LGBTの環境が大きく変わって来た。今後、日本も市場価値を見出されることで前進すると予想されている。

企業はCSRとしてどこまでLGBTを尊重すべきか | CSRのその先へ(2014年2月21日)

ただ、世界的な流れも含めて、企業のCSR担当者は情報収集を欠かさないほうがよさそうですよ、って話でした。人権に関するCSR活動は世界のトレンドですので、2014・2015年は日本でも色々動きがあるかもしれませんね。

100兆円市場! 我らの隣人「LGBT」を見よ セクシュアル・マイノリティを学んで儲ける【上】:PRESIDENT Online - プレジデント(2014年5月19日)

その推計市場規模は……アメリカで約77兆円、イギリスで約7兆円、そして我が日本でも約6兆円で、世界全体では軽く100兆円を超えるとされる。今、世界のビジネス界でもっとも注目を集めているのが、LGBT市場なのである。

なぜソフトバンクは性的マイノリティに愛されるのか セクシュアル・マイノリティを学んで儲ける【中】:PRESIDENT Online - プレジデント(2014年5月20日)

LGBTにフレンドリーな企業=女性や障害者やそのほかのマイノリティにも優しい、というイメージを人々は抱いています。それは人材確保だけでなく、商品などもっと広い範囲のイメージアップにも繋がる。従来は、理解不足のためLGBTという言葉自体がネガティブに捉えられる、というリスク管理が働いてしまっていたのかもしれませんが、今後は、むしろLGBTにフレンドリーでないということがネガティブになる、という時代にシフトしていくと思います。

レズビアン、ゲイ…LGBTに関心高まる 日本人の5%、市場規模5.7兆円 (1/5ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)(2014年05月26日)

日本でも同性婚などの法整備が確立すれば、大きな市場が広がる可能性がある。だがそうした動きは非常に弱い。元電通総研の研究主席で消費生活評論家の四元正弘さんは「日本のLGBT層はまだニッチ(隙間)市場。まずは偏見を持たずにどんな人たちかを知ることが大事で、その先にビジネスの兆しを見いだせるはず」と話している。

 

LGBTはライフスタイルそのものだ。衣食住に関するライフハック、カミングアウト、結婚、生き方、子育て、将来像など社会的視座はもちろん必要な切り口だろう。政治的な高鳴りなのか?市場経済的な高鳴りなのか?いずれにしてもグローバルな視点でLGBTが、LGBTと括られることのない社会創造は必要である。政治的な側面と、市場経済的な側面については、自らのアプローチをひとつのフックとして追々語ることになる。