見つめられるのか、見過ごされたままなのか。

この数年、日本のLGBT団体と提携し、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 (TokyoLGFF)や、Tokyo SuperStar Awards(TSSA)、Tokyo Rainbow WeekなどのスポンサーとしてLGBT関連イベントを牽引するイタリアの高級車ブランド、アルファロメオ

 

 

日本市場でのシェアが0.1%にも満たない高級車「アルファロメオ」は、市場の約90%を占める日本車のメーカーと同じマーケティングをしても勝ち目はないという現状を克服するために、大半の日本企業が見過ごしている消費者グループに働きかけることにしたそうだ。それが、LGBTと呼称される性的(セクシャル)マイノリティーズである。

ー アルファロメオに乗ることは、アイデンティティに関わること。それは自分らしくあることと同義であり、自分自身で選択することにブランド価値や理念がある。

日本のマーケティング担当者はこのように言っていたと記憶している。洗練されたセクシーさと、情熱的な上品さを兼ね備えたブランドイメージが、個人的に思うLGBT層のイメージとシンクロしているとは感じている。

スポンサーとしてのイベント露出や、ブランドロゴ入りの赤いコンドームを配布するなどの地道な活動は、少なくとも「アルファロメオLGBTイベント」という印象と認知を決定づけており、マーケティング始動以降の販売台数も、前年の販売台数に比べると約2.5倍に急増したそうだ。しかし、これがマイナーチャンジなどに付随するセールス拡大なのか?LGBTをターゲティングした結果なのか?には個人的に疑問が残る。それは、LGBT人口比、人口比にみる年齢比、所得傾向、イベント参加比率、ソーシャルでのマーケティングとその認知など考察すべき点を、私自身が知り得ていないからだ。少なくとも、非LGBT当事者に向け、アルファロメの献身的なマーケティングアプローチについて話しても知らない人が多数を占める。無論、国産メーカーであるトヨタやスバルが、北米においてLGBT向けのマーケティングしている事実もこれらの人々は把握していない。

大半の日本企業が見過ごしている消費者グループ。アルファロメオをはじめとする外資企業の市場アプローチには、一定の利はありそうだ。しかし、諸外国にてマーケティングを展開している日本企業が、そこではLGBT層に着目している現実があるにも関わらず、殊に日本において、そのような動きに転換していかない現状については、見極めていく必要もあるのではないか。

LGBTに差別的な職場環境は、ゲイのみならずストレートからも敬遠される風潮を持つアメリカ。ゲイに寛容な職場を作ろうとすると、ストレートから反感を買うという時代は終焉しつつある。もはや欧米では、LGBTと呼称される性的(セクシャル)マイノリティーズは、あたりまえの存在なのだ。

同性婚などの法整備や、企業平等指数でのランク付けの定常化により、企業は競い合うようにLGBTフレンドリーになろうとしている。総人口の5〜10%と言われる巨大なLGBTマーケットへ向けたマーケティングと囲い込みや、環境、社会、経済的観点でのサステナビリティとして、人材と競争力の確保が定常化している。トヨタなどの日本の大企業もアメリカではそのように振る舞っている。市場が先か?政治(法整備)が先か?まるでタマゴとニワトリ論のようだが、先行性にメリットがあることに間違いと思うが、このイタリアの高級車ブランド、アルファロメオの動き方に、私は注目していきたい。

 

 

第23回東京国際レズビアン & ゲイ映画祭(TILGFF) / TokyoSuperStarAwards | TSSAオフィシャルサイト / Tokyo Rainbow Week 2014(東京レインボーウィーク2014) | 『Tokyo Rainbow Week 2014』は、セクシュアル・マイノリティの人たちが、より自分らしく前向きに暮らしていくことのできる社会をみんなで応援し、サポートする週間です。