オタクとゲイにみるライフスタイル論。

新宿2丁目に付随するカルチャーはサブカルだとされる場合が多い。LGBTカルチャーという捉え方もできようが、厳密に言うとサブカルではなく、ライフスタイルありきで物事を考えなくてはいけないカルチャーである。その意味でアキバ系という言われる市場や文化的概念とは異なる。アキバ系はいわゆる「オタク」が派生したカルチャーであり、LGBT当事者もオタクであれば、そのカルチャーにそのまま吸収される。それだけのことなのだ。

 

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オタクとはそもそも「気持ち悪い」「根暗」そんなイメージが先行する言葉である。ただ、2ちゃんねるや、YouTubeというインフラの登場と、涼宮ハルヒなどにみるコンテンツが絶妙にシンクロしたことで、オタク間の同属意識が創造された。また、コンテンツに対する非オタク層の介在が進むにつれて、誰よりも詳しい(知識のある)オピニオンリーダーとしてオタクは一般層の道標となった。今ではpixivなどに見られるようにコンテンツの創造を含めた知識とクリエイティブ自体にオシャレ感すら帯びているし、トレンドを牽引するインフルエンサーとしてオタクは昇華していくことになる。テクノロジーの進歩とコンテンツの融合が「趣味に起因するマニア」たちを一般化させ、アニメ、フィギュア、コスプレ、アイドル等々の消費財の売買を加速させた。その結果、海外に誇れるカルチャーとして日本のコンテンツ市場を支えるひとつの器を構成している。たかだか10年程度の歳月である。

 

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一方、LGBTカルチャーはどうだろう。前述した通り「趣味」ではない。つまり、これ自体にマニア、もしくは専門性という概念はないということになる。オタク同様に、ゲイという言葉にはまだまだ偏見があるのは事実。オタクは気持ち悪いから始まった。ゲイはどうだろうか。気持ち悪いと思う人も少なからずいるだろうが、そもそも接点自体が乏しい人が多いはずだ。実際の関わりがない上に、TVでのオネエ的なイメージが先行しているという視座に立てば、ゲイはオタクという言葉が一般認知され始めた創世記に近いしニュアンスを持っているのではないだろうか。(これが「アキバ=新宿2丁目=サブカル=オタク=ゲイ」という構図を安易に作る要因にもなっているはずだ)

 

 

2大サブカル頂上決戦と題された「何んか変」という番組。新宿2丁目発!LGBTポータルサイト「2CHOPO(にちょぽ)」編集長、兼女装タレントのバブリーナと、「秋葉系アイドルチャンネル」編集長の楠山幸英(オタク代表)がMCとなり、旬な著名人ゲストを招いて予測不能なトークを展開する番組。おネェとヲタクは共存できたのだろうか?  内容としてはかなりオモシロイので1年前の番組ではあるが、ご視聴をオススメする。

第1回 アキバ×2丁目…?初回ゲストは大人気グラドル森下悠里さん!|番組CH

 

新宿2丁目は、世界有数のゲイタウン。2020に向けてインバウンド的なPR展開は十分可能なだずだ。しかし、LGBTという視座に立てば、オタクという概念とは性質が異なるために、市場経済に起因する要素を可視化するのは非常に難しい。つまり、ビジネス転化が難しいということは、LGBT自体がライフスタイルそのものだを証明することにもなり、そもそも特異な存在ではないことを僕らに提示する顕著な例だと思う。市場として考えれば、これから10年先に、テクノロジーなのか、法整備なのかはさておき、一般理解促進と共に、市場経済に風穴を開けるムーブメントが起こる可能性は十分にある。

 

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